“棚から取り出す、一本のゲーム”
幕末を題材にしたゲームと聞けば新撰組側から物語を描く作品を思い浮かべる人も多いでしょう。
2009年にPSPで発売された『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』は新撰組だけの物語ではありません。
プレイヤーは佐幕派と倒幕派、二つの立場から幕末を体験できます。近藤勇氏や土方歳三氏ら新撰組の隊士たちとともに戦うのか。それとも坂本龍馬氏ら倒幕側の志士たちと新しい時代を目指すのか。
桜田門外の変、池田屋事変、禁門の変、薩長同盟、長州征伐――。
日本史の教科書で見た事件の中へ、自ら刀を持って飛び込んでいく歴史アクションです。
本作は2009年に一から作られた新作ではありません。
2005年にPlayStation 2で発売された『風雲 幕末伝』をベースにしたPSP向けリニューアル作品。しかもPS2版を発売した元気ではなくフロム・ソフトウェアが販売権を取得して発売したという、少し変わった経緯を持つ一本なのです。
発売日は2009年12月10日。公式サイトではジャンルを「本格歴史アクション」プレイ人数を1人としています。型番「ULJM-05561」は今回所有している説明書とUMDでも確認できます。
価格については少し注意が必要です。発売当時の記事では3,990円(税込)と案内されていますが、現在のフロム・ソフトウェア公式製品ページでは3,800円(税込4,180円)と表示されています。これは消費税率変更後の現在の税込表記によるもので、発売時の税込価格は3,990円でした。
タイトルだけを見ると新撰組を主人公としたゲームに思えます。
ところが本作の面白いところは幕末を一方向から描いていないことです。
ストーリーでは佐幕派と倒幕派という二つの視点が用意され、それぞれ異なる立場から幕末の動乱へ関わっていきます。
パッケージ裏面にも、
「倒幕の志士となり、新時代を切り開くか!」
「新撰組隊士となり、武士の誠を貫くか!」
と、左右を赤と青に分けて大きく掲載されています。
この構成がなかなか面白い。
歴史上では敵対する者同士でも、それぞれにはそれぞれの正義があります。
新撰組側だけを「正義」、倒幕派だけを「新時代の英雄」として描くのではなく、両方を自分で体験して初めて一つの幕末像が完成する。歴史ゲームとして本作の大きな特徴でしょう。
本作の中心となるのが「幕末伝モード」。
公式情報によれば200以上の任務が収録され、ストーリー上の大きな歴史事件だけでなく、潜入、捕縛、尾行、聞き込みなどさまざまな通常任務も用意されています。
パッケージ裏にも、
「斬る!斬る!斬る!白熱する剣術バトル!」
とあります。
とはいえ、敵をひたすら斬ればいい無双系アクションとは少し違います。
戦闘には攻撃・受け・仕掛け/崩しによる駆け引きがあり、相手の防御を崩したり攻撃を受けて隙を作ったりすることが重要です。
刀同士の間合いとタイミングを意識する剣術アクション。
ここは本作らしい部分です。
もう一つ特徴的なのが「偉人録モード」。
坂本龍馬氏、土方歳三氏をはじめとした歴史上の人物となり、それぞれに用意された任務へ挑戦できます。公式説明書でも「幕末伝」とは別に「偉人録」の項目が設けられています。
オリジナル主人公として幕末を生きる「幕末伝」。
実在した人物を操作する「偉人録」。
同じ歴史を違う距離感から楽しめるわけです。
戦闘面でも単純なキャラクターアクションにはなっていません。
複数の流派や技が存在し、それらを組み合わせる「剣術編集」が用意されています。フロム・ソフトウェア公式でも多彩な流派と技をカスタマイズできることが本作の特徴として紹介されています。
ゲームを進めて技を増やし、自分の戦い方に合った剣術を作る。
幕末という題材だけでなく刀で戦うこと自体をゲームシステムとして掘り下げているのが本作です。
ここは本作を理解するうえで重要です。
『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』は2005年1月に元気から発売されたPS2用『風雲 幕末伝』をベースにしています。
そして2009年、フロム・ソフトウェアがPS2作品をPSPへ移植する「Portableシリーズ 2009」を展開。
『ARMORED CORE 3 Portable』や『天誅 参 Portable』などとともに『風雲 幕末伝』もPSPへやって来ました。
つまり本作は2009年当時のフロム・ソフトウェアによる過去作品再活用プロジェクトの一本でもあったのです。
PSP版では携帯機の画面に合わせて16:9表示へ変更されています。
これは単なる解像度変更ではなく、PSPの横長画面で周囲を把握しやすくするための調整でもありました。
PS2のテレビゲームだった作品を手元のワイド画面で遊ぶ。
2009年当時の「Portable」という言葉には現在のリマスターとは少し違った魅力がありました。
PSP版の追加要素として見逃せないのが「資料閲覧モード―美術設定」です。
ここには40人以上のキャラクター設定イラストが収録されています。
ゲーム攻略には直接関係しません。
しかし、歴史上の人物を多数登場させる本作では、人物設定や衣装をじっくり眺められるギャラリーは相性の良い追加要素です。
単なる移植で終わらせず、資料集的な楽しみを足した部分ですね。
本作はアクションゲームとして極端な高難度作品というわけではありません。
しかし、攻撃だけで押し切ろうとすると少々苦戦します。
攻撃・受け・崩しの関係を理解し、相手の状態を見ながら技を使う必要があるためです。
特に序盤は派手に敵をなぎ倒すゲームを想像しているとテンポが悪く感じるかもしれません。
逆に相手との間合いを見て一太刀を入れる感覚が分かってくると、本作らしい剣術の駆け引きが見えてきます。
難しいというより戦い方を理解するまで少し癖があるタイプ。
200以上の任務という数字はボリューム面では大きな魅力です。
ただし、数が多ければ必ずしも最後まで新鮮というわけではありません。
通常任務を繰り返していく構造上、長時間プレイすると似たような戦闘や移動を繰り返している感覚も出てきます。
ここは本作の評価が分かれやすいところでしょう。
歴史イベントを追いながら少しずつ進めるなら楽しい。一方、短期間で一気に攻略しようとすると任務数の多さが作業感につながる可能性があります。
また、元が2005年のPS2作品であることも忘れてはいけません。
2009年の完全新作PSPタイトルとして見ると、ゲーム設計や演出に少し古さを感じる部分があっても不思議ではありません。
2009年12月10日は、かなり多くのゲームが発売された日でした。
同日にはWii『テイルズ オブ グレイセス』、DS『極限脱出 9時間9人9の扉』、PSP『NARUTO -ナルト- 疾風伝 ナルティメットアクセル3』なども発売されています。
しかも本作は完全新作ではなく、約5年前のPS2作品をベースとした移植タイトル。
発売当時に大きな話題の中心となるには少々厳しい条件だったと考えられます。
一方、3,990円という比較的手を出しやすい価格でPS2作品を携帯機で遊べるというのは当時のPortableシリーズ共通の魅力でした。シリーズ6作品はいずれも3,990円で展開されています。
今回確認した範囲では本作単体について信頼できる国内累計販売本数を確認できませんでした。
そのため「○万本売れた」と推測で数字を掲載することは避けます。
少なくとも発売時の扱いや後年の知名度を見る限り、PSPを代表する大ヒット作品として語られるタイプではなく、現在では幕末ゲームやフロム・ソフトウェア作品を掘り下げていくと出会う、やや渋い一本という位置づけでしょう。
今回確認した主要な発売当時の記事にも、致命的な不具合やゲームとして成立しないほどの問題を指摘する情報は見当たりませんでした。
むしろ問題になるのは、
「2009年のゲームとして何を期待するか」
でしょう。
PSP用完全新作として見ると、PS2時代のゲームデザイン、繰り返し型の任務、演出面の古さなどが気になる可能性があります。
しかし、PS2版『風雲 幕末伝』を携帯機で遊べるリニューアル版として見れば16:9対応や設定資料の追加まで行われています。
評価する基準によって印象が変わるゲームです。
「名作だから誰にでもおすすめ」と持ち上げる必要もなければ「古いからクソゲー」と切り捨てるほどでもない。
幕末という題材そのものを楽しめるかどうか。
本作では、そこが評価を大きく左右するでしょう。
表面には複数の幕末人物が描かれています。
オレンジを基調とした背景に、黒や浅葱色の衣装が重なり、その中央下部には筆文字風のタイトル。
そして右上には、
「幕末これ一本!」
というコピーがあります。
なかなか大胆です。
しかし、佐幕・倒幕双方のストーリー、200以上の任務、偉人録、歴史資料まで収録していることを考えると、本作が目指した方向性を短い言葉でよく表しています。
下部には「FROM SOFTWARE」の文字。
PS2版を知っている人なら、ここに元気ではなくフロム・ソフトウェアの名前があること自体が本作の成り立ちを物語っています。
裏面は表面以上に本作の特徴が分かりやすく整理されています。
左側は赤を基調とした倒幕派。
右側は青を基調とした新撰組。
その中央には、
「日本を動かした男達が、今蘇る!」
というコピー。
ゲーム画面だけを並べるのではなく、幕末を二つの立場から描くゲームであることをパッケージそのものが説明しているわけです。
さらに下を見ると「幕末伝モード」「偉人録モード」の画面、200以上の任務、剣術編集などが紹介されています。
中古ショップで裏面を見ただけでも「何をするゲームなのか」がかなり分かりやすいパッケージです。
パッケージとは雰囲気が一変します。
人物のイラストはありません。
薄い和紙のような背景にタイトルと「解説書」の文字だけ。
右上の「解説書」という縦書きまで含めて、ゲームソフトの説明書というより古い史料や冊子を思わせるデザインです。
派手なパッケージとの対比が面白いところですね。
公式版の解説書を見ると、操作説明から始まり、任務、剣術稽古、状態、資料閲覧、偉人録、挑戦、そして倒幕派・佐幕派の登場人物まで収録されています。
裏側も徹底して簡素です。
中央付近にFROM SOFTWAREとユーザーサポート情報。下部には著作権表記と型番「ULJM 05561」、そして黄色いGenkiのマークがあります。
ここは実物ならではの興味深いポイントです。
販売はフロム・ソフトウェアですが、元となった『風雲 幕末伝』を制作した元気の名前もしっかり残っています。
パッケージだけでは見落としやすい、本作の出自が見える部分でしょう。
UMDも本作らしいデザインです。
盤面を大きく赤と青に分け、それぞれに人物のシルエットを配置。
パッケージ裏面と同じく、倒幕派と佐幕派という二つの勢力を色で表現しています。
UMDはケースに入れてしまえば普段ほとんど見ることのない部分ですが、本作ではパッケージからディスクまでデザイン上のテーマが通されています。
『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』は2009年のPSPを代表する大作だったわけではありません。
ゲームシステムの根幹は2005年のPS2作品。200以上の任務はボリュームである一方、遊び方によっては繰り返しにも感じられる。そして発売日には強力な新作が何本も並んでいました。
それでも、佐幕と倒幕の両方から幕末を見る構成は今振り返っても面白いところです。
近藤勇氏や土方歳三氏を「味方」として見るだけでは終わらない。坂本龍馬氏ら倒幕側へ回れば、先ほどまでとは違った正義から同じ時代を見ることになる。
勝った側の歴史だけではなく、対立した双方を自分で操作してみる。
派手さではなく、その視点こそが『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』に残された一番の個性なのかもしれません。
“棚から取り出す、一本のゲーム”
幕末を題材にしたゲームと聞けば新撰組側から物語を描く作品を思い浮かべる人も多いでしょう。
2009年にPSPで発売された『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』は新撰組だけの物語ではありません。
プレイヤーは佐幕派と倒幕派、二つの立場から幕末を体験できます。近藤勇氏や土方歳三氏ら新撰組の隊士たちとともに戦うのか。それとも坂本龍馬氏ら倒幕側の志士たちと新しい時代を目指すのか。
桜田門外の変、池田屋事変、禁門の変、薩長同盟、長州征伐――。
日本史の教科書で見た事件の中へ、自ら刀を持って飛び込んでいく歴史アクションです。
本作は2009年に一から作られた新作ではありません。
2005年にPlayStation 2で発売された『風雲 幕末伝』をベースにしたPSP向けリニューアル作品。しかもPS2版を発売した元気ではなくフロム・ソフトウェアが販売権を取得して発売したという、少し変わった経緯を持つ一本なのです。
『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』の基本情報
発売日は2009年12月10日。公式サイトではジャンルを「本格歴史アクション」プレイ人数を1人としています。型番「ULJM-05561」は今回所有している説明書とUMDでも確認できます。
価格については少し注意が必要です。発売当時の記事では3,990円(税込)と案内されていますが、現在のフロム・ソフトウェア公式製品ページでは3,800円(税込4,180円)と表示されています。これは消費税率変更後の現在の税込表記によるもので、発売時の税込価格は3,990円でした。
『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』はどんなゲーム?
新撰組だけではない「佐幕派」と「倒幕派」の物語
タイトルだけを見ると新撰組を主人公としたゲームに思えます。
ところが本作の面白いところは幕末を一方向から描いていないことです。
ストーリーでは佐幕派と倒幕派という二つの視点が用意され、それぞれ異なる立場から幕末の動乱へ関わっていきます。
パッケージ裏面にも、
「倒幕の志士となり、新時代を切り開くか!」
「新撰組隊士となり、武士の誠を貫くか!」
と、左右を赤と青に分けて大きく掲載されています。
この構成がなかなか面白い。
歴史上では敵対する者同士でも、それぞれにはそれぞれの正義があります。
新撰組側だけを「正義」、倒幕派だけを「新時代の英雄」として描くのではなく、両方を自分で体験して初めて一つの幕末像が完成する。歴史ゲームとして本作の大きな特徴でしょう。
200以上の任務を収録した幕末伝モード
本作の中心となるのが「幕末伝モード」。
公式情報によれば200以上の任務が収録され、ストーリー上の大きな歴史事件だけでなく、潜入、捕縛、尾行、聞き込みなどさまざまな通常任務も用意されています。
パッケージ裏にも、
「斬る!斬る!斬る!白熱する剣術バトル!」
とあります。
とはいえ、敵をひたすら斬ればいい無双系アクションとは少し違います。
戦闘には攻撃・受け・仕掛け/崩しによる駆け引きがあり、相手の防御を崩したり攻撃を受けて隙を作ったりすることが重要です。
刀同士の間合いとタイミングを意識する剣術アクション。
ここは本作らしい部分です。
歴史上の人物を操作できる「偉人録モード」
もう一つ特徴的なのが「偉人録モード」。
坂本龍馬氏、土方歳三氏をはじめとした歴史上の人物となり、それぞれに用意された任務へ挑戦できます。公式説明書でも「幕末伝」とは別に「偉人録」の項目が設けられています。
オリジナル主人公として幕末を生きる「幕末伝」。
実在した人物を操作する「偉人録」。
同じ歴史を違う距離感から楽しめるわけです。
剣術を自分好みに組み替える「剣術編集」
戦闘面でも単純なキャラクターアクションにはなっていません。
複数の流派や技が存在し、それらを組み合わせる「剣術編集」が用意されています。フロム・ソフトウェア公式でも多彩な流派と技をカスタマイズできることが本作の特徴として紹介されています。
ゲームを進めて技を増やし、自分の戦い方に合った剣術を作る。
幕末という題材だけでなく刀で戦うこと自体をゲームシステムとして掘り下げているのが本作です。
PS2版『風雲 幕末伝』から何が変わった?
実はPSPオリジナル作品ではない
ここは本作を理解するうえで重要です。
『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』は2005年1月に元気から発売されたPS2用『風雲 幕末伝』をベースにしています。
そして2009年、フロム・ソフトウェアがPS2作品をPSPへ移植する「Portableシリーズ 2009」を展開。
『ARMORED CORE 3 Portable』や『天誅 参 Portable』などとともに『風雲 幕末伝』もPSPへやって来ました。
つまり本作は2009年当時のフロム・ソフトウェアによる過去作品再活用プロジェクトの一本でもあったのです。
16:9ワイド画面に対応
PSP版では携帯機の画面に合わせて16:9表示へ変更されています。
これは単なる解像度変更ではなく、PSPの横長画面で周囲を把握しやすくするための調整でもありました。
PS2のテレビゲームだった作品を手元のワイド画面で遊ぶ。
2009年当時の「Portable」という言葉には現在のリマスターとは少し違った魅力がありました。
40人以上の設定画を収録
PSP版の追加要素として見逃せないのが「資料閲覧モード―美術設定」です。
ここには40人以上のキャラクター設定イラストが収録されています。
ゲーム攻略には直接関係しません。
しかし、歴史上の人物を多数登場させる本作では、人物設定や衣装をじっくり眺められるギャラリーは相性の良い追加要素です。
単なる移植で終わらせず、資料集的な楽しみを足した部分ですね。
『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』の難易度と気になる点
ボタン連打だけでは戦いにくい
本作はアクションゲームとして極端な高難度作品というわけではありません。
しかし、攻撃だけで押し切ろうとすると少々苦戦します。
攻撃・受け・崩しの関係を理解し、相手の状態を見ながら技を使う必要があるためです。
特に序盤は派手に敵をなぎ倒すゲームを想像しているとテンポが悪く感じるかもしれません。
逆に相手との間合いを見て一太刀を入れる感覚が分かってくると、本作らしい剣術の駆け引きが見えてきます。
難しいというより戦い方を理解するまで少し癖があるタイプ。
200以上の任務は長所であり弱点にもなる
200以上の任務という数字はボリューム面では大きな魅力です。
ただし、数が多ければ必ずしも最後まで新鮮というわけではありません。
通常任務を繰り返していく構造上、長時間プレイすると似たような戦闘や移動を繰り返している感覚も出てきます。
ここは本作の評価が分かれやすいところでしょう。
歴史イベントを追いながら少しずつ進めるなら楽しい。一方、短期間で一気に攻略しようとすると任務数の多さが作業感につながる可能性があります。
また、元が2005年のPS2作品であることも忘れてはいけません。
2009年の完全新作PSPタイトルとして見ると、ゲーム設計や演出に少し古さを感じる部分があっても不思議ではありません。
2009年という発売時期から見る『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』
2009年12月10日は、かなり多くのゲームが発売された日でした。
同日にはWii『テイルズ オブ グレイセス』、DS『極限脱出 9時間9人9の扉』、PSP『NARUTO -ナルト- 疾風伝 ナルティメットアクセル3』なども発売されています。
しかも本作は完全新作ではなく、約5年前のPS2作品をベースとした移植タイトル。
発売当時に大きな話題の中心となるには少々厳しい条件だったと考えられます。
一方、3,990円という比較的手を出しやすい価格でPS2作品を携帯機で遊べるというのは当時のPortableシリーズ共通の魅力でした。シリーズ6作品はいずれも3,990円で展開されています。
売上本数は?
今回確認した範囲では本作単体について信頼できる国内累計販売本数を確認できませんでした。
そのため「○万本売れた」と推測で数字を掲載することは避けます。
少なくとも発売時の扱いや後年の知名度を見る限り、PSPを代表する大ヒット作品として語られるタイプではなく、現在では幕末ゲームやフロム・ソフトウェア作品を掘り下げていくと出会う、やや渋い一本という位置づけでしょう。
『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』の評価
今回確認した主要な発売当時の記事にも、致命的な不具合やゲームとして成立しないほどの問題を指摘する情報は見当たりませんでした。
むしろ問題になるのは、
「2009年のゲームとして何を期待するか」
でしょう。
PSP用完全新作として見ると、PS2時代のゲームデザイン、繰り返し型の任務、演出面の古さなどが気になる可能性があります。
しかし、PS2版『風雲 幕末伝』を携帯機で遊べるリニューアル版として見れば16:9対応や設定資料の追加まで行われています。
評価する基準によって印象が変わるゲームです。
「名作だから誰にでもおすすめ」と持ち上げる必要もなければ「古いからクソゲー」と切り捨てるほどでもない。
幕末という題材そのものを楽しめるかどうか。
本作では、そこが評価を大きく左右するでしょう。
『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』のパッケージと実物を見る
佐幕派と倒幕派を一枚に収めたパッケージ
表面には複数の幕末人物が描かれています。
オレンジを基調とした背景に、黒や浅葱色の衣装が重なり、その中央下部には筆文字風のタイトル。
そして右上には、
「幕末これ一本!」
というコピーがあります。
なかなか大胆です。
しかし、佐幕・倒幕双方のストーリー、200以上の任務、偉人録、歴史資料まで収録していることを考えると、本作が目指した方向性を短い言葉でよく表しています。
下部には「FROM SOFTWARE」の文字。
PS2版を知っている人なら、ここに元気ではなくフロム・ソフトウェアの名前があること自体が本作の成り立ちを物語っています。
裏面では赤と青で二つの立場を表現
裏面は表面以上に本作の特徴が分かりやすく整理されています。
左側は赤を基調とした倒幕派。
右側は青を基調とした新撰組。
その中央には、
「日本を動かした男達が、今蘇る!」
というコピー。
ゲーム画面だけを並べるのではなく、幕末を二つの立場から描くゲームであることをパッケージそのものが説明しているわけです。
さらに下を見ると「幕末伝モード」「偉人録モード」の画面、200以上の任務、剣術編集などが紹介されています。
中古ショップで裏面を見ただけでも「何をするゲームなのか」がかなり分かりやすいパッケージです。
解説書は一転して非常に渋い
解説書・表紙
パッケージとは雰囲気が一変します。
人物のイラストはありません。
薄い和紙のような背景にタイトルと「解説書」の文字だけ。
右上の「解説書」という縦書きまで含めて、ゲームソフトの説明書というより古い史料や冊子を思わせるデザインです。
派手なパッケージとの対比が面白いところですね。
公式版の解説書を見ると、操作説明から始まり、任務、剣術稽古、状態、資料閲覧、偉人録、挑戦、そして倒幕派・佐幕派の登場人物まで収録されています。
解説書・裏表紙
裏側も徹底して簡素です。
中央付近にFROM SOFTWAREとユーザーサポート情報。下部には著作権表記と型番「ULJM 05561」、そして黄色いGenkiのマークがあります。
ここは実物ならではの興味深いポイントです。
販売はフロム・ソフトウェアですが、元となった『風雲 幕末伝』を制作した元気の名前もしっかり残っています。
パッケージだけでは見落としやすい、本作の出自が見える部分でしょう。
UMDにも佐幕と倒幕の二色
UMDも本作らしいデザインです。
盤面を大きく赤と青に分け、それぞれに人物のシルエットを配置。
パッケージ裏面と同じく、倒幕派と佐幕派という二つの勢力を色で表現しています。
UMDはケースに入れてしまえば普段ほとんど見ることのない部分ですが、本作ではパッケージからディスクまでデザイン上のテーマが通されています。
『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』は2009年のPSPを代表する大作だったわけではありません。
ゲームシステムの根幹は2005年のPS2作品。200以上の任務はボリュームである一方、遊び方によっては繰り返しにも感じられる。そして発売日には強力な新作が何本も並んでいました。
それでも、佐幕と倒幕の両方から幕末を見る構成は今振り返っても面白いところです。
近藤勇氏や土方歳三氏を「味方」として見るだけでは終わらない。坂本龍馬氏ら倒幕側へ回れば、先ほどまでとは違った正義から同じ時代を見ることになる。
勝った側の歴史だけではなく、対立した双方を自分で操作してみる。
派手さではなく、その視点こそが『風雲 新撰組 -幕末伝- Portable』に残された一番の個性なのかもしれません。