“棚から取り出す、一本のゲーム”
白い背景に朱色で描かれた幻想的なイラスト。そして中央に置かれた「FINAL FANTASY 零式」のタイトル。
2011年10月27日にPSPで発売された『ファイナルファンタジー零式』です。
同じファイナルファンタジーシリーズでありながら、本作が描くのは冒険よりも「戦争」。魔法や召喚獣が存在する世界で0組(クラスゼロ)と呼ばれる若者たちが国家間の戦争へ投入されていきます。
しかも、戦死した人間の記憶が生きている者から失われるという重い世界設定。シリーズの中でもかなり異質な作品です。
もともとは『ファイナルファンタジー アギトXIII』として企画され、後に『ファイナルファンタジー零式』へ改題。PSP末期の2011年にUMD2枚組・希望小売価格7,700円という大作仕様で登場しました。発売初週から販売ランキング首位を獲得し、2011年国内年間販売本数は約69.6万本。外伝的な立ち位置ながら商業的にも存在感を示した一本です。
当初は2011年10月13日の発売が予定されていましたが品質向上を理由として2週間延期され10月27日に発売されています。
『FF零式』では、ひとりの主人公だけを追いかける従来型の構成とは少し異なります。
物語の中心となるのは魔導院ペリシティリウム朱雀に所属する0組の候補生14人。
エース、デュース、トレイ、ケイト、シンク、サイス、セブン、エイト、ナイン、ジャック、クイーン、キング、マキナ、レムと、それぞれ異なる武器や能力を持つ若者たちが戦争へ身を投じていきます。
舞台となるオリエンスには朱雀・白虎・蒼龍・玄武という四つの国家が存在し、それぞれがクリスタルを擁しています。
物語はミリテス皇国による朱雀領ルブルムへの侵攻から本格的に動き始めます。
学園を拠点としながら任務へ出撃するという構造だけを見れば、どこか青春群像劇のようにも思えます。
しかし、戦場では人が死ぬ。
しかも本作の世界では死者についての記憶そのものが残された人々から失われていくという特殊な設定があります。
そのため「誰かが死んだ」という事実は残っても、その人物がどんな顔をして、どんな声で話し、どんな人だったのかを思い出すことができません。
この設定が『FF零式』の戦争描写をかなり独特なものにしています。
戦闘も従来のFFとは大きく異なります。
敵と遭遇してコマンド入力画面へ切り替わるのではなくフィールド上でそのままリアルタイムに戦闘が進行します。
14人のキャラクターは単に外見が違うだけではありません。
カードを投げるエース、弓を使うトレイ、銃を扱うキング、大剣のジャック、格闘で戦うエイトなど武器も攻撃距離も操作感もかなり異なります。
特に特徴的なのがキルサイト。
敵が攻撃動作などで隙を見せた瞬間にサイトが表示され、そのタイミングで攻撃を当てれば大ダメージ、あるいは一撃で倒すことができます。
レベルだけで押し切るのではなく「敵の動きを見て仕留める」というアクションゲーム的な面白さが強く出ています。
今回の実物を見ても分かる通り本作はUMDが2枚入っています。
PSPでは珍しい2枚組です。
Disc 1とDisc 2ではラベルデザインも異なり、2枚を並べることで一つのビジュアルとして楽しめるようになっています。
ストーリー、ワールドマップ、多数の操作キャラクター、ムービー、音声、マルチプレイなどを詰め込んだ結果であり、当時から「UMD2枚組」は本作を象徴する仕様の一つでした。
PSPという携帯ゲーム機で据え置き機の大作RPGに近い規模を実現しようとした作品だったことが、この2枚のUMDからも伝わってきます。
『FF零式』はFFシリーズの中では比較的アクション色が強く難易度も決して低くありません。
敵の攻撃を避けながらキルサイトを狙う必要があり、強敵相手では単純なボタン連打が通用しにくくなります。
さらに14人それぞれの戦闘スタイルが大きく違うため、誰を使っても同じように戦えるわけではありません。
近距離型で苦戦した相手でも遠距離型なら戦いやすいといった相性もあります。
この仕組みは長所である一方、14人を育成する負担の大きさにもつながります。
好きな数人だけを重点的に育てていると、状況によって苦しくなることもある。キャラクター数の多さが、そのままゲームの複雑さにもなっているわけです。
また、PSP版ではカメラ操作について不満を挙げるプレイヤーも少なくありませんでした。素早い敵をロックした際の画面の動きなど、アクション性の高さにPSPの操作系が完全には追いついていない部分があります。
ここは現在遊んでも古さを感じやすいところでしょう。
『FF零式』には少々複雑な誕生経緯があります。
もともとは2006年に『ファイナルファンタジー アギトXIII』として発表され『FINAL FANTASY XIII』などと神話を共有する「ファブラ ノヴァ クリスタリス」プロジェクトの一作品として企画されました。
当初は携帯電話向けとして構想され、その後PSPへ変更。さらに2011年にはタイトルそのものが『ファイナルファンタジー零式』へ変更されています。
つまり「零式」という名前はシリーズ初期から決まっていたものではありません。
そして、この改題には新しいFFシリーズへ発展させようという意味も込められていました。
結果的に『零式II』のような直接的なシリーズ展開には至りませんでしたが、この少し変わった出生そのものが本作の個性になっています。
2011年10月27日の発売週『FF零式』は国内ゲームソフト販売ランキングで初登場1位を獲得しました。
さらに2011年国内年間販売本数は696,428本。
同年の年間ランキングでも上位に入り、PSP作品として大きな販売実績を残しています。
これはかなり重要です。
2011年12月にはPlayStation Vitaが発売されており、PSPはすでに世代末期へ差しかかっていました。
そんな時期にUMD2枚組・7,700円という強気な仕様で発売され、それでも約70万本規模まで販売されたのです。
しかも同じ発売日には『星のカービィ Wii』などの有力タイトルもありました。
シリーズのブランド力はもちろんですが「携帯機で遊べる本格的なFF大作」という期待が非常に大きかったことも、この数字から見えてきます。
発売当時の専門誌レビューでは高評価を受け、プラチナ殿堂入り。販売面でも年間約70万本を記録しています。
一方で「評価が高い=欠点がない」ではありません。
カメラワーク、14人の育成負担、独特な用語が多いストーリー、周回を前提とした構造などは人を選びます。
そして何より従来のFFらしいコマンドRPGを期待して購入した人にとってアクション中心の戦闘はかなり方向性が違いました。
逆に評価されやすかったのはPSPとして高水準だった映像表現、キャラクターごとに異なる戦闘、音楽、重い戦争描写、そして終盤からエンディングにかけての物語です。当時のユーザーレビューでも、このあたりは強く支持されています。
したがって本作は、
「完成度の低いゲーム」ではなく、「かなり癖の強いFF」
と捉える方が実態に近いでしょう。
パッケージ表面はかなり印象的です。
背景の大部分を白が占め、そこへ朱色を中心とした繊細なイラスト。
歴代FFシリーズのパッケージにも白を基調としたものは多くありますが『零式』は余白を大胆に残しながら赤い線画を大きく配置しています。
中央には「FINAL FANTASY 零式 TYPE-0」。
そして下部にはSQUARE ENIXの文字。
キャラクターの顔を大きく並べるのではなく、作品の世界観そのものを一枚の絵として見せるデザインです。
戦争を扱う重いゲームでありながらパッケージだけを見ると静かで美しい。
ゲームを進めた後に改めて見ると、この白と朱色にも違った印象を受けます。
裏面へ回すと雰囲気は一変します。
中央に並ぶのは0組の候補生たち。
その周囲には炎や戦場の風景が広がり、表面の静けさとは正反対です。
そして中央には、
「人は生まれる時代も世界も選ぶことは出来ない。しかし、どう生きるかを決めることは出来る。」
という、本作を象徴する言葉が置かれています。
下部を見ると「2 DISCS」の表示も確認できます。
さらにパッケージにはデータインストールに555MB以上の空き容量が必要との記載もあります。
当時のPSPではUMDの読み込み時間を短縮するためにMemory Stickへゲームデータをインストールする作品が増えていました。
UMD2枚組にデータインストール。
このあたりにもPSPで大作を動かそうとしていた時代がよく表れています。
背表紙は白を基調とした非常にシンプルなデザインです。
縦に、
「ファイナルファンタジー 零式」
とタイトルが配置され、その下にCERO C、型番「ULJM 05900~1」、UMDの表記。
棚にPSPソフトを並べた場合、キャラクターや派手な装飾はほとんど見えません。
表面・背面・背表紙で情報量の差がかなり大きいパッケージです。
解説書は赤褐色を基調としたデザイン。
中央には朱雀を思わせる大きな紋章が描かれ、パッケージの白い印象とは大きく異なります。
キャラクターを前面に出さず、国家や軍事組織の資料のように仕上げているのが面白いところ。
『FF零式』では朱雀、白虎、蒼龍、玄武という国家の存在が物語の中心にあります。
そのため解説書も単なる操作マニュアルというよりオリエンスという世界の一部を切り取った資料のように見えます。
裏表紙も赤褐色。
歯車のような模様が薄く重なり、表面と同じ質感で統一されています。
下部にはサポート情報と型番「ULJM 05900~1」。
表側ほど派手ではありませんが、一般的な白地の注意書きだけで終わらせず最後まで作品のデザインに合わせています。
そして『FF零式』の実物でやはり目を引くのがこの2枚です。
左がDisc 1、右がDisc 2。
どちらも白をベースに赤からオレンジへ変化する線画が描かれていますがイラストは異なります。
一枚だけで完結させるのではなく、2枚を並べたときに『FF零式』という一本の大作を感じさせるデザインになっています。
現在のダウンロード販売ではゲーム容量が大きくてもプレイヤーが「ディスク2枚分」という形で実感することはほとんどありません。
しかしPSP版『FF零式』にはそれが物理的に残っています。
そして、この2枚組という仕様は単なる珍しさだけではありません。
『ファイナルファンタジー零式』はPSPというハードが終盤を迎えつつあった2011年に、その携帯機へどこまで大作RPGを詰め込めるのかを試したような作品でもあります。
約70万本という販売実績を残しながら、その後はPS4などへ『FINAL FANTASY 零式 HD』として展開されました。
一方でオリジナル版のUMDを手に取ると、そこには「PSPでこれだけのFFを作る」という2011年当時の無茶ともいえる物量が、そのまま2枚のディスクとして残っています。
『FF零式』を振り返るなら物語の評価だけではなく、この「PSP末期に現れた異様に大きな携帯機向けFF」という側面も忘れたくない一本です。
“棚から取り出す、一本のゲーム”
白い背景に朱色で描かれた幻想的なイラスト。そして中央に置かれた「FINAL FANTASY 零式」のタイトル。
2011年10月27日にPSPで発売された『ファイナルファンタジー零式』です。
同じファイナルファンタジーシリーズでありながら、本作が描くのは冒険よりも「戦争」。魔法や召喚獣が存在する世界で0組(クラスゼロ)と呼ばれる若者たちが国家間の戦争へ投入されていきます。
しかも、戦死した人間の記憶が生きている者から失われるという重い世界設定。シリーズの中でもかなり異質な作品です。
もともとは『ファイナルファンタジー アギトXIII』として企画され、後に『ファイナルファンタジー零式』へ改題。PSP末期の2011年にUMD2枚組・希望小売価格7,700円という大作仕様で登場しました。発売初週から販売ランキング首位を獲得し、2011年国内年間販売本数は約69.6万本。外伝的な立ち位置ながら商業的にも存在感を示した一本です。
『ファイナルファンタジー零式』の基本情報とゲーム内容
基本データ
当初は2011年10月13日の発売が予定されていましたが品質向上を理由として2週間延期され10月27日に発売されています。
14人全員が主人公という「0組」の物語
『FF零式』では、ひとりの主人公だけを追いかける従来型の構成とは少し異なります。
物語の中心となるのは魔導院ペリシティリウム朱雀に所属する0組の候補生14人。
エース、デュース、トレイ、ケイト、シンク、サイス、セブン、エイト、ナイン、ジャック、クイーン、キング、マキナ、レムと、それぞれ異なる武器や能力を持つ若者たちが戦争へ身を投じていきます。
舞台となるオリエンスには朱雀・白虎・蒼龍・玄武という四つの国家が存在し、それぞれがクリスタルを擁しています。
物語はミリテス皇国による朱雀領ルブルムへの侵攻から本格的に動き始めます。
学園を拠点としながら任務へ出撃するという構造だけを見れば、どこか青春群像劇のようにも思えます。
しかし、戦場では人が死ぬ。
しかも本作の世界では死者についての記憶そのものが残された人々から失われていくという特殊な設定があります。
そのため「誰かが死んだ」という事実は残っても、その人物がどんな顔をして、どんな声で話し、どんな人だったのかを思い出すことができません。
この設定が『FF零式』の戦争描写をかなり独特なものにしています。
コマンド式ではなくアクション性の高い戦闘
戦闘も従来のFFとは大きく異なります。
敵と遭遇してコマンド入力画面へ切り替わるのではなくフィールド上でそのままリアルタイムに戦闘が進行します。
14人のキャラクターは単に外見が違うだけではありません。
カードを投げるエース、弓を使うトレイ、銃を扱うキング、大剣のジャック、格闘で戦うエイトなど武器も攻撃距離も操作感もかなり異なります。
特に特徴的なのがキルサイト。
敵が攻撃動作などで隙を見せた瞬間にサイトが表示され、そのタイミングで攻撃を当てれば大ダメージ、あるいは一撃で倒すことができます。
レベルだけで押し切るのではなく「敵の動きを見て仕留める」というアクションゲーム的な面白さが強く出ています。
PSPでUMD2枚組という大ボリューム
今回の実物を見ても分かる通り本作はUMDが2枚入っています。
PSPでは珍しい2枚組です。
Disc 1とDisc 2ではラベルデザインも異なり、2枚を並べることで一つのビジュアルとして楽しめるようになっています。
ストーリー、ワールドマップ、多数の操作キャラクター、ムービー、音声、マルチプレイなどを詰め込んだ結果であり、当時から「UMD2枚組」は本作を象徴する仕様の一つでした。
PSPという携帯ゲーム機で据え置き機の大作RPGに近い規模を実現しようとした作品だったことが、この2枚のUMDからも伝わってきます。
難易度はやや高め。14人をどう使うかが重要
『FF零式』はFFシリーズの中では比較的アクション色が強く難易度も決して低くありません。
敵の攻撃を避けながらキルサイトを狙う必要があり、強敵相手では単純なボタン連打が通用しにくくなります。
さらに14人それぞれの戦闘スタイルが大きく違うため、誰を使っても同じように戦えるわけではありません。
近距離型で苦戦した相手でも遠距離型なら戦いやすいといった相性もあります。
この仕組みは長所である一方、14人を育成する負担の大きさにもつながります。
好きな数人だけを重点的に育てていると、状況によって苦しくなることもある。キャラクター数の多さが、そのままゲームの複雑さにもなっているわけです。
また、PSP版ではカメラ操作について不満を挙げるプレイヤーも少なくありませんでした。素早い敵をロックした際の画面の動きなど、アクション性の高さにPSPの操作系が完全には追いついていない部分があります。
ここは現在遊んでも古さを感じやすいところでしょう。
「ファブラ ノヴァ クリスタリス」から生まれた作品
『FF零式』には少々複雑な誕生経緯があります。
もともとは2006年に『ファイナルファンタジー アギトXIII』として発表され『FINAL FANTASY XIII』などと神話を共有する「ファブラ ノヴァ クリスタリス」プロジェクトの一作品として企画されました。
当初は携帯電話向けとして構想され、その後PSPへ変更。さらに2011年にはタイトルそのものが『ファイナルファンタジー零式』へ変更されています。
つまり「零式」という名前はシリーズ初期から決まっていたものではありません。
そして、この改題には新しいFFシリーズへ発展させようという意味も込められていました。
結果的に『零式II』のような直接的なシリーズ展開には至りませんでしたが、この少し変わった出生そのものが本作の個性になっています。
発売当時の人気と約70万本という販売実績
2011年10月27日の発売週『FF零式』は国内ゲームソフト販売ランキングで初登場1位を獲得しました。
さらに2011年国内年間販売本数は696,428本。
同年の年間ランキングでも上位に入り、PSP作品として大きな販売実績を残しています。
これはかなり重要です。
2011年12月にはPlayStation Vitaが発売されており、PSPはすでに世代末期へ差しかかっていました。
そんな時期にUMD2枚組・7,700円という強気な仕様で発売され、それでも約70万本規模まで販売されたのです。
しかも同じ発売日には『星のカービィ Wii』などの有力タイトルもありました。
シリーズのブランド力はもちろんですが「携帯機で遊べる本格的なFF大作」という期待が非常に大きかったことも、この数字から見えてきます。
『FF零式』の評価
発売当時の専門誌レビューでは高評価を受け、プラチナ殿堂入り。販売面でも年間約70万本を記録しています。
一方で「評価が高い=欠点がない」ではありません。
カメラワーク、14人の育成負担、独特な用語が多いストーリー、周回を前提とした構造などは人を選びます。
そして何より従来のFFらしいコマンドRPGを期待して購入した人にとってアクション中心の戦闘はかなり方向性が違いました。
逆に評価されやすかったのはPSPとして高水準だった映像表現、キャラクターごとに異なる戦闘、音楽、重い戦争描写、そして終盤からエンディングにかけての物語です。当時のユーザーレビューでも、このあたりは強く支持されています。
したがって本作は、
「完成度の低いゲーム」ではなく、「かなり癖の強いFF」
と捉える方が実態に近いでしょう。
『ファイナルファンタジー零式』のパッケージと付属品を見る
白地に朱色が映えるパッケージ表面
パッケージ表面はかなり印象的です。
背景の大部分を白が占め、そこへ朱色を中心とした繊細なイラスト。
歴代FFシリーズのパッケージにも白を基調としたものは多くありますが『零式』は余白を大胆に残しながら赤い線画を大きく配置しています。
中央には「FINAL FANTASY 零式 TYPE-0」。
そして下部にはSQUARE ENIXの文字。
キャラクターの顔を大きく並べるのではなく、作品の世界観そのものを一枚の絵として見せるデザインです。
戦争を扱う重いゲームでありながらパッケージだけを見ると静かで美しい。
ゲームを進めた後に改めて見ると、この白と朱色にも違った印象を受けます。
裏面は表紙とは対照的な「戦場」
裏面へ回すと雰囲気は一変します。
中央に並ぶのは0組の候補生たち。
その周囲には炎や戦場の風景が広がり、表面の静けさとは正反対です。
そして中央には、
「人は生まれる時代も世界も選ぶことは出来ない。しかし、どう生きるかを決めることは出来る。」
という、本作を象徴する言葉が置かれています。
下部を見ると「2 DISCS」の表示も確認できます。
さらにパッケージにはデータインストールに555MB以上の空き容量が必要との記載もあります。
当時のPSPではUMDの読み込み時間を短縮するためにMemory Stickへゲームデータをインストールする作品が増えていました。
UMD2枚組にデータインストール。
このあたりにもPSPで大作を動かそうとしていた時代がよく表れています。
背表紙は驚くほどシンプル
背表紙は白を基調とした非常にシンプルなデザインです。
縦に、
「ファイナルファンタジー 零式」
とタイトルが配置され、その下にCERO C、型番「ULJM 05900~1」、UMDの表記。
棚にPSPソフトを並べた場合、キャラクターや派手な装飾はほとんど見えません。
表面・背面・背表紙で情報量の差がかなり大きいパッケージです。
解説書はパッケージとは別方向の重厚さ
解説書は赤褐色を基調としたデザイン。
中央には朱雀を思わせる大きな紋章が描かれ、パッケージの白い印象とは大きく異なります。
キャラクターを前面に出さず、国家や軍事組織の資料のように仕上げているのが面白いところ。
『FF零式』では朱雀、白虎、蒼龍、玄武という国家の存在が物語の中心にあります。
そのため解説書も単なる操作マニュアルというよりオリエンスという世界の一部を切り取った資料のように見えます。
解説書の裏側まで世界観を崩さない
裏表紙も赤褐色。
歯車のような模様が薄く重なり、表面と同じ質感で統一されています。
下部にはサポート情報と型番「ULJM 05900~1」。
表側ほど派手ではありませんが、一般的な白地の注意書きだけで終わらせず最後まで作品のデザインに合わせています。
2枚のUMDを並べて完成するデザイン
そして『FF零式』の実物でやはり目を引くのがこの2枚です。
左がDisc 1、右がDisc 2。
どちらも白をベースに赤からオレンジへ変化する線画が描かれていますがイラストは異なります。
一枚だけで完結させるのではなく、2枚を並べたときに『FF零式』という一本の大作を感じさせるデザインになっています。
現在のダウンロード販売ではゲーム容量が大きくてもプレイヤーが「ディスク2枚分」という形で実感することはほとんどありません。
しかしPSP版『FF零式』にはそれが物理的に残っています。
そして、この2枚組という仕様は単なる珍しさだけではありません。
『ファイナルファンタジー零式』はPSPというハードが終盤を迎えつつあった2011年に、その携帯機へどこまで大作RPGを詰め込めるのかを試したような作品でもあります。
約70万本という販売実績を残しながら、その後はPS4などへ『FINAL FANTASY 零式 HD』として展開されました。
一方でオリジナル版のUMDを手に取ると、そこには「PSPでこれだけのFFを作る」という2011年当時の無茶ともいえる物量が、そのまま2枚のディスクとして残っています。
『FF零式』を振り返るなら物語の評価だけではなく、この「PSP末期に現れた異様に大きな携帯機向けFF」という側面も忘れたくない一本です。